怪蟲奇譚。(かいこきたん。)
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怪蟲(かいこ)という当時は新種として騒がれていた蟲も、今ではどこでも見られるような時代に成ってしまったようで。
防虫剤無効化の厄介者。
腹が立つ程の逃げ足の早さ。
あるいは、人を喰らう食人虫。
喰わずして寄生し繁殖したり。
全く、こいつらのお陰で世間がどれだけ大騒ぎしたことか。
……というのは嘘で。
というより、本土の情勢がこんな孤島からでは分からないのだ。
今、本土はどうなっているのか。
少なくとも、自分達がこんな事件に巻き込まれようとは思ってもいないだろう。
しかし、それは俺達も同じだったのだ。
だからもっと早く。
一秒でも早く。
この島から抜け出すべきだったんだ。



その日の朝は……実はあまり覚えていない。
ただ、蝉が馬鹿みたいに五月蝿かったというのを覚えていた。
だがその後。俺達は知ることになる。



俺、七篠春樹(ななしのはるき)が二年前に移住した詩ヶ島(うたがしま)には、昔から色々な禁忌が存在している。
今思うと、ここの人達はどこか得体の知れない【何か】に怯えているように見えた。
登校中、俺はいつも挨拶を欠かさないのだが、返事が返ってきた覚えは、控えめに言って無い。
移民ということもあってか、避けられているだけなのかもしれないが。
まあ幸いにも、俺には友達がいるからそこまで惨めな気持ちにはならなかった。
それでも、当時孤立していた俺の支えとなったのは、親が残したであろう莫大な金と、薄っぺらい日記だった。
どうやら俺には姉がいたらしく、その子が記した手記らしい。
正直日記は数行で終わっていて、詳しい事情は分からない。
その顔も声も知らない人の、端整な文字を見ていると何故か気持ちが和らぐというか、不思議な感じがした。
「七篠?」
「うお!? ビビったぁ、十倉(とくら)か」
いつの間にか隣にいた少年。
十倉海月(とくらくらげ)は、俺と同じくこの島に移民してきた男子だ。
おちゃらけた他のクラスメイトとはひと味もふた味も違い、冷静沈着を体現したようなヤツで、いつも静かだけど、話してみるとなかなか気さくで面白いヤツだった。
まさに絵に描いたような優等生って感じだ。
羨ましいことこの上ない。
「どうしたんだよ、ぼーっとして」
「ん、ああ。いや、何でもないんだ」
「ならいいんだがな。そうだ、新しい本調達してきたぞ。ムカつく主人公が死ぬところから始まって犯人が誘拐されたヒロインだったんだ」
なんちゅうネタバレしてくんだよ。
多分それ、七巻まで出るな。
「せんぱーい」
声がしたので、俺達は後ろを振り向く。
そこには、小柄な少年がこちらに駆けてきていた。
どう考えても校則違反の髪色──白髪を揺らしながら歩いてくる小柄な彼の名は西埜悠(にしのゆう)。俺達の後輩で、一つ下の学年だった。
こんな髪色のくせに風紀委員をやっているらしく、ここら辺の禁忌に詳しいことで有名だ。
「お、ニッシー君じゃん」
先輩呼びはやめろと何度も言っているのに、彼は七篠先輩と十倉先輩と呼ぶ。
彼の癖なのか、いつもヘラヘラしており、どこか掴みどころのない少年だった。
「西埜、お前風紀委員だろ。ここで何してんだよ」
それな。休みなのかな。
「ええ? 先輩達がいたから声をかけたんですよ。そっちこそ何してたんですか?」
「いつも通り、雑談だよ」
俺達が通っていたのは【世廉学園(せいれんがくえん)】という全寮制の高校で、この島唯一の高校である。
俺と十倉は四年生。西埜は勿論一個下。
この一年を終え、クラスの皆と卒業する。
そう信じてやまなかった。
その時までは。

#

九月二十二日。午前八時二十三分。
詩ヶ島の人間の百パーセントが、突如行方不明となる怪事件が発生。
島のあらゆるところには血溜まりと山のように積まれた虫の死骸が残されていた。
蝉、蟻、芋虫……と種類は様々。
数十名の無事が警察の捜索で確認され、俺がその一人だった。
「虫食事変(むしくいじへん)」。この怪事件は後にこう呼ばれることになる。
近隣の方々 

2023年11月14日(火)16時01分 公開
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■作者からのメッセージ
異世界向きか現世向きの世界観なのか……私はどちらでもいいけど、どうしよう……
というわけで読者様の意見を取り入れることにしました。
言い訳になりますが、初心者です。
感想、アドバイス等お待ちしています。


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2023年12月10日(日)00時21分 倉本たつき  +20点
>防虫剤無効化の厄介者。
>腹が立つ程の逃げ足の早さ。
>あるいは、人を喰らう食人虫。
>喰わずして寄生し繁殖したり。
>全く、こいつらのお陰で世間がどれだけ大騒ぎしたことか。
>……というのは嘘で。


この辺りの文書から、西尾維新が好きなのかなと思いました。
なんとなく似てます。

怪蟲奇譚かいこきたんというタイトルはオリジナリティあると思います。

最後の方に出てきた虫食い事変という言葉からは、東京事変を連想しました。

初心者の方ということで、まぁ僕も万年初心者なんですが。
登場人物の設定をもう少し練ったほうがいいように思いました。
今の状態だと、サクッと作中でキャラの全てを書けたりしてますし。十倉海月とか。

僕にアドバイスできるとしたら、某小説家が言うように、登場人物の履歴書を作るとかがいいかと。勿論、それでやる気が削がれるなら、他の方法でもいいので、とりあえず改善していくといいと思います。センスはあると思いました。

あと、掌編小説というより、長編小説の冒頭かなと思ったので、今度は長編小説にもチャレンジして欲しいです。案外、そっちの方が向いてるかもしれません。

ではでは

12

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