ゲレンデの怪獣
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街は燃え盛っている。
人々の悲鳴や爆発音なども、時間が経つごとに徐々に聞こえなくなってきた。
街の大半を破壊し尽くしてしまったようだ。
数時間前までは深海にいた、この私が。

深海から地上にあがるや否や、人間達は私に銃やミサイルを撃ってきた。
ビックリしたし、くすぐったいので手や尻尾で払ったりしているうちに、建物のほとんどを破壊してしまっていた。
気付いた時には、みんないなくなっていた。

私は山に登りたかった。
水中から見える地上の雪山は、とても魅力的に見えていた。
水から顔を出して見た実物の純白の山は、とつもなく美しく、今まで感じたことのない昂りを感じた。

雪山を目指して歩く私のことを、人々は”ゲレンデの怪獣”と呼んでいるらしい。

純白の山に足を踏み入れたところ、深海のような冷たさを足裏に感じ、驚きのあまり思わず大きな声で叫んでしまった。
足裏に感じる心地よい冷たさと、憧れの雪山に登っているの、という実感で興奮のあまり口から放射熱線を吐いてしまった。

昔、放射能に酔っ払った父が「乾燥には保湿が大事」と言っていたことがあった。
普段水中で生活をしていたので、気にしたことはなかったが、地上は水中とは違って空気が多いのか、肌がカサカサして痒い。
肌の乾燥と併せて、先程まで銃撃や爆撃をされた部分の肌が、少しただれているようだった。

私は急遽、真っ白な雪山に寝そべり、全身に雪と土を浴びた。
乾燥した肌の細かい組織に雪解けの水が滲み込む感覚が、この上ない快感で、思わず皮膚という皮膚から放射熱線が出てしまった。

山も街も全て消えてしまった。
私は立ち尽くし、自分のことを制御しきれない自分のことがイヤになり、海に帰った。
高木アイアン 

2022年10月12日(水)02時31分 公開
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■作者からのメッセージ
フィクションです。


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2022年10月15日(土)10時18分 鏡ミラー  0点
こんにちは。
ゲレンデの怪獣。どこか名前が可愛いです。
行ったことのない憧れの土地に行きたいという気持ちは共感出来ました。
疑問に思った所としては普段寒い深海に住んでいる怪獣が雪山を歩いて冷たいと果たして感じるのか思いました。
後は最初ゴジラ的なイメージで読んでいたのですが、皮膚という皮膚から放射熱線が出たと書かれていたので、どんな怪獣なのだろうと具体的な身体的な特徴の記載が欲しかったです。
後父との会話とあるのですが言葉を話せる怪獣と言う事でしょうか。海の中か水面に顔を出してか。あるいは他の方法か。いずれにせよ知性がある怪獣で悪気は無く街を破壊してしまったのですね。
無邪気な子供怪獣みたいな感じで可愛いけど最後一人で虚しく帰って可愛そうと捉えるか、破壊するだけ破壊して帰ったとんでもない怪獣と捉えるかは人それぞれかもしれないですね。怪獣の性格としてはどこかドラゴンボールに出てくる魔人ブウの無邪気さが浮かびました。
地面を歩いている虫から見たら人間もこんな怪獣に見える時があるのでしょうかね。

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